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地下足袋をはいた猫

タテにして、ヨコにして。

築60年越えのおばあちゃん家には、最近の家にはあんまりないものが沢山あります。
そのひとつが『木製建具』。


木製建具とは。
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襖とか、



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障子とか、



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こんなの(↑なんて言うの?)とか、



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こうゆう引き戸とかです。
最近の家には当たり前の『サッシ』は勝手口と以前に改装したお風呂の窓くらい。


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家中の建具を集めるとそれだけでえらい場所を取ります。


こんなにたくさんある建具ですが、家の歪みに長らく付き合っていたために同じく歪んでいたり、親方が新しく作ってくださった敷居と鴨居にうまくはまらなかったりするので調整せねばなりません。

それをしてくださるのがこの方、
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縦ジマの四番、25番を背負ってサードを守るあの人によく似た建具屋さんです。



さて。
本日は勝手口入ってすぐのところの引き戸の調整に来ていただきました。

まずは、
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外していた引き戸を一枚ずつはめ直して行きます。



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きちっとはまるものもあれば、



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ミリ単位ではまらないもののあるので、



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鉋で削りながら微調整。
あまりにも早すぎて手元が写りません・・・。



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こちらが建具屋さんの鉋。
右のは大工さんが使ってはるのに良く似ているけれど(同じ??)、左のがなんとも不思議な形をしております。



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木製建具の幅に合わせてあるのでめっちゃ細い。


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そして、二枚刃。
なぜ刃がこんなふうになってるのか聞きそびれたなぁ。。。ま、次の楽しみにおいとこう。(^-^)



話は戻って。
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ある程度削り終えると試しにはめてみて、



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削り足りないと・・・またほんのちょっと削ります。



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タテにして、



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ヨコにして、



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またタテにして、



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もっかいヨコにして、



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タテにして・・・。


こうして、空調が何もない暑い部屋の中で汗だくになりながら建具屋さんのお仕事は進んで行きました。
親方が作ってくれはった敷居と大工さんが高さを直してくれはった鴨居の間に建具が綺麗にはまりこむ図はなんとも言えないワクワク感がありました。
改装現場はやめられへんわぁ~。(≧∀)b


襖紙とか障子を貼らはる時も楽しそうやなぁ~、とウキウキしていたら『あ、それは作業場でやります。』とサックリ言われてしまいました。
あ、やっぱりね。。。(T-T)


なにはともあれ、まだまだ直してもらわなあかん建具が山ほどあります。
得点圏打率2割9分7厘(7月29日現在)の勢いでよろしくお願いします。m(__)m
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閑話休題:ステンレス論争。

『ステンレスに磁石はひっつくのか否か。』



塾長が『厨房の壁にステンレス板張ったら綺麗やし、掃除とか楽やで。』とおっしゃるので、『あ、そら良いなぁ~。』というコトになり、張ってもらうことにしました。
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こちらの壁です。



『ステンレス板やったら磁石付きのフックとか付けられるし便利やなぁ。』と家族で話していると、
『え?そんなんステンレスに磁石なんか引っ付くかいな!!』と塾長。

あれ?ステンレスに磁石ってひっつかへんものなの??
塾長が『自分らあれちゃうか、トタンと間違えてるんちゃうか』とおっしゃるのですが・・・。
そんな・・・トタンが張ってある厨房なんかあるのかしら??いや、あるまい。。。(__;)



そして!ステンレス論争勃発!?
『ステンレスに磁石はひっつく』、『いや、ひっつかない』という問答を何回か繰り返したけど埒があかないので、塾長が職人さんに『ステンレスに磁石はひっつかんわなぁ』と聞いてみはりました。

まずは大工さん。
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『いや、ひっつかないでしょう。ステンレスの釘はインパクト(電動ビス回し)にひっつかへんし。』



続いて瓦屋さん。
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『ひっつかないですねぇ。』



そして、サッシ屋さん。
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『ひっつきません。』



・・・・・あまりにも色んな人に否定されるのでちょっと不安になり、もともとあるキッチンの流し(ステンレス)に磁石付きフックがひっついてることを確認。
『これはちゃんとついてますよ。』と言ってみた。
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見えにくいとは思いますが、キッチンの左端に磁石付きタオルかけと磁石付きフックが付いてます。(え?見えへん??)

『それ、ステンレスとちゃうんちゃうか?』と塾長。
いや、これはステンレスです!!・・・多分。
大工さんに『これステンレスですよねぇ?』と聞いてみると『あぁ、ステンレスですねぇ。』と心強いお言葉。


『やっぱりステンレスに磁石はひっつくんです!』『いや、そんなはずない。』と、さっきの話に逆戻りの中、大工さんがこんなものを持って来てくれました。
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ステンレスのビスです。
やっぱり職人さんは普段自分達が使ってる道具でないと納得出来ないものなのかしら??(^-^)


さて。このステンレスのビスを磁石に近づけてみると・・・ひっついた!!(≧∀≦)ノ~
塾長&職人さんが『え~!!ひっつくん!?』という結果に。
なんとなく『勝った!!』。


あんまり納得してない様子ながら塾長はお帰りになり、職人さんたちはお仕事に戻り、私たちも家に帰ることに。
おばあちゃん家を出てガレージから車が来るのを待っていると、家の中から『ステンレスってひっつくんですねぇ。』『なぁ、びっくりしたなぁ。』という大工さんの会話が聞こえてきてちょっと笑えました。



そして、件のステンレス板が板金屋さんによって取り付けられました。
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さっそく磁石付きフックを付けてみると・・・・・ひっつかない。。。Σ(・ロ・)えぇ~!!
もう一度キッチンの流しに付けてみると・・・・・ひっつく。
う~ん、もうなんだかよく分からん。





結論。
ステンレスには磁石がひっつくものとそうでないものがあるそうです。
クロムの含有量の違いらしい。

あんなに『ひっつく!』『ひっつかへん!』と論争(?)したのに、結局のところ『どっちも正解』でした。
ちゃんちゃん。(^^;)

明るきことは、すばらしき哉。

それはとある日のお昼過ぎ。

二階の窓から厨房になるところの屋根と瓦屋さんの作業を眺めていた母が『あれ?厨房の天井ってトップライト(窓)がつくんやんねぇ?』と一言。
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私『なるよ。だって図面にも描いてあるし、塾長と前にその話したもん。』
母『でも瓦屋さん、あれは屋根を作ってはるんとちゃうの?』
私『いやまさかそれはないやろう。ん~、でも一応塾長に連絡してみよか~。』
ということで塾長にお電話をしてみました。


私『あのね、厨房の屋根ってトップライトになるんですよね?』
塾長『え?そんなん仕様書には書いてなかったで!!』
私『でも図面には描いてあるし、前にその話してましたよね??』
塾長『・・・・・、ちょっと電話切っていい?すぐ連絡するわ。』


そんなわけで、塾長からの電話を待つコト10分ほど。
塾長『分かった、今からやるから!』


という訳で、どこからか運ばれきたのがコレ。(。。φ)
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そして、大工さんと瓦屋さんがせっかく作ってくれはった天井ですが、この窓のために穴を開けていただくことになりました。。。(^^;)



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あら?



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まぁ!



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ども、こんにちは。



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突然降って沸いた改修工事ですが、黙々とこなしてくれる大工さん。



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そして、それを見守る塾長。
イカツイ外見とはうらはらに、塾長は優しくて気ぃ使いな方です。
なので段取りを急に変えてしまったことを気にして、いつもならしない『大工さんが落としたビスを拾って渡す』とか、『脚立を支える』とか、色々してはりました。
ちょっと可愛い。(笑)



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ただの天井だったところに、新たな窓枠が付き↓↓



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窓をはめ込んで↓↓↓



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天窓完成!!(≧∀)b



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厨房になる部屋がこ~んなに明るくなりました。(*^-^*)
う~ん、やっぱり明るいってすばらしいです、はい。



いつも現場で『邪魔や、邪魔や』と言われますが、こういう風に役に立つこともあるのです。
ね、塾長?
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さてさて、ここでひとつ問題です。
うちに運ばれてきた窓ですが、いったいどこから来たのでしょうか?



正解:次の日にどこかのおうちに取り付けられるはずだったものだそうです。
   鶴の一声ならぬ塾長の一叫びによってこっちに来ちゃいました。
   顔も知らないどこかのお施主さん、すみませんでした。m(__)m

うぐいすさん、さようなら。

『鴬張り(うぐいすばり)』
木造の床板の張り方の一。踏むと床板をとめたかすがいがきしんで鶯の鳴き声のような音をたてるもの。
京都知恩院の渡り廊下が有名。(大辞林より)


さて、この家の廊下も『鴬張り』でした。
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歩くたびに「きゅっきゅ、きゅっきゅ」と愛らしいうぐいすの鳴き声が・・・なんて良いものではありません!
ただ単に立て付けが悪くなってただけです、はい。(>_<)



最初は工事の予定に入ってなかったものの、親方と塾長が『これ絶対直した方がいい。』と言わはるので直してもらうことになりました。
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長いことこの家の廊下に住み続けていたうぐいすちゃん達にさようならです。



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床の間や台所と同じように全部きれいさっぱりになった後、基礎が出来↓↓



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いつものように束の上に大引、根太が造られていきます。



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親方、腰は大丈夫ですか?



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これで床板を張る準備が整いました!!
どんな風になるのか楽しみです。(^-^)



本日は親方のお弟子さん登場。
親方のお顔が『職人』から『師匠』に変わってます。そんな親方もまた素敵。(≧∀≦)
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古い家なので今の規格に合わせてある資材とサイズやら長さやらが違うらしく、あっちを切ったりこっちを合わせたり・・・と大変なご様子。



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柱に溝をつけて、床板をスライドさせてはめようとするものの上手く行きません。



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いろいろな試行錯誤の末・・・。↓↓↓
(何の関係もありませんが、お弟子さんの足首、超キレイ!!)



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入りました~。(≧∀)b



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続きまして、縦のライン。
丁寧なお仕事で床板が並んで行きます。



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そして、横と縦のラインの継ぎ目のようなちょっとした所にも



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親方の技が光ります!



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師匠と弟子の図、その①。



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師匠と弟子の図、その②。
二人の会話を聞いていると(えぇ、いつもの通り盗み聞き。)、親方はお弟子さんのことが可愛くて仕方ないんだなぁ~というのが言葉の端々から分かります。
なんか良いなぁ。



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お弟子さんの『ちょっとしたオチャメ』に満面の笑みの親方。
全部をお見せできないのが残念です。




さてさて。
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廊下、完成!!
もちろん、うぐいすはもういません。



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前の板より格段に明るくなったせいか、ちょっとだけ広く感じます。



ところで。
親方曰く『鶯張りは言わば大工の失敗』だそうです。
すべてがそうではないかもしれないけれど、普通きちっと造った床が軋むなんてことはないらしい。
『失敗を「風流」に置き換えてみたところが昔の人の粋なところなんでしょうね、今やったら欠陥住宅で文句言われますよ。わはは。』とのことでした。



綺麗になった床に新たなうぐいすが住み着かないことを願いつつ・・・
何十年もこの家にすみ続けてくれたうぐいすさんにさようなら。

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